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広告校正会社の広告っぽくない広告

読者を楽しませる

私たちの周りには「読んでくれなくてもいいよ」と言ってるような印刷物がたくさんあります。パソコンソフトの「使用許諾同意書」や保険契約の「約款(やっかん)」は、字は小さい、漢字は多い、文体は硬いで、読んでもらうのが目的ではなく、説明責任のために仕方なく、という印象を受けます。パソコンやケータイの「取扱説明書」も初心者にはちんぷんかんぷん。わかってる人なら5分で終わる設定に3時間!なんてことがザラにあります。

>>>あなたの仕事はチケットを売ることで はありません。おいでになったゲストと最初にコミュニケーションをとることです。でも「いらっしゃいませ」とは言わないでください。それは日本では「い らっしゃいませ」には返事をしない習慣だからです。ゲストから返事をいただいて、はじめてコミュニケーションがとれたことになるのです。

これは東京ディズニーランドのチケットブース用のマニュアルです。「こうしなさい」と押しつけるのではなく、仕事の目的と理由をやさしい言葉で説明しています。こういうマニュアルだとスイスイ頭に入り、先が読みたくなりますよね。

さきほどの印刷物にしても、プロの手にかかれば何とかなりそうな気がします。分厚い説明書を分冊にするだけでも、イメージは違ってくるでしょう(誰だって薄いほうがいいに決まってます)。「あそこの取説、面白かったよ」なんてところから、企業のイメージアップを図るのも十分アリではないでしょうか。


東京三菱UFJ? 三菱東京UFJ?
広告やビジネス文書の会社名や商品名に誤りがあると、やっつけ仕事と思われその価値は半減します。うっかりしやすい会社名としては、三菱東京UFJ銀行(×東京三菱UFJ銀行)、ブルドッソース(でもロゴはBull・Dog)、キノン、富士フルム、三和シッター、シチハタ、味の素ゼネラルフーなどがあります。「株式会社」が前に付くか後ろに付くかも要注意です。

商品名も正確に覚えましょう。キーピーのユは大きいですが(ただしチラシではキーピーもよく見ます)、興和新薬のキーピーコーワゴールドのュは小さいです。「○○詰め合わせ」も、詰めあわせ、詰め合せ、詰合せ、御詰合せと各社まちまちです。

ロゴも各社趣向をこらしていて、一澤信三郎帆布は鞄(かばん)という字の「革で包む」を「布で包む」にしています。吉野家のは上が「士」ではなく「土」です。マツダ(自動車)やミツカンはMAZDA、mizkanとなり、セブン‐イレブンの看板は7-ELEVEnで「n」だけ大文字ではありません。

案内図の店舗名も誤りがあるとそのお店に失礼なだけでなく、読者の失笑を買うのでご注意ください。よく見る間違いとしては、イトーヨーカドー(イトーヨーカは社名)、不二家(×不二)、サイゼリヤ(×サイゼリ)、ビックカメラ(×ビッカメラ)、ドン・キホーテ(×ドンキ・ホーテ)などがあります。

会社名や市町村名が合併や統合で変わったら、案内図は今のままで大丈夫か、必ず確認を取りましょう。


求人募集はスピード勝負
求人広告を出したのに、反響がない、条件に合う人が見つからないという場合、問題はどこにあるのでしょう。時期が悪かったで済ませるのではなく、応募者の立場から考えてみましょう。

うまくいかない理由としては、マンネリ表現が多い、就業条件がわかりづらいなどが挙げられます。「未経験者歓迎」を「未経験でも素直な方なら大歓迎」とすれば、読者の印象はがらりと変わります。ダメでもともと。いろいろ試してみてはいかがでしょう。

また採用までに時間がかかりすぎるのも問題です。履歴書の書類審査に1週間、さらに面接までに1週間、採用決定にまた1週間…。こんなスケジュールでは、いい人材であればあるほど他社に先を越されてしまいます。求人チラシが日曜に折り込まれるのに、日曜は定休日なので受付は月曜日から、なんてのん気に構えていてはいけません。

もっとも良くないのが、人手が足りないからと採用基準を落とすことです。面接時の「少し気になる」は、毎日一緒に働くと「かなり気になる」になります。品質やサービスを維持するために、費用はかさみますが、理想の応募者(探せば必ずいます)が来るまで、優秀な派遣スタッフ(こちらも探せば必ずいます)でつなぐのも有効な手段です。


レベルの差は歴然

どんな仕事にも本物のプロとそうでないプロがいます。例えば、行列のできるお店と閑古鳥の鳴いてるお店のコックさんが、材料も道具もすべて同じモノを使って「オムレツ対決」をしたとします。

結果は、味はもちろん、手際の良さ、盛り付け、後片付けにいたるまで、行列のできるコックさんの圧勝ではないでしょうか。本物のプロは一つ一つの動作にしっかりとした理由があり、無駄がありません。10人分を続けて作るときも手を抜きません。それは手を抜いたときの怖さを知っているからです。

赤ペン1本でできる知的ワーク、自宅で手軽に高収入…校正はこのようなキャッチコピーによって、少し勉強すれば誰でもプロになれると思われがちです。しかし実際の募集広告では、○年以上の経験者という応募条件が多く、未経験者には厳しい業界です。それは、見落としを限りなくゼロに近づけるノウハウと、見落としたときの怖さは、実践でしか身につかないからです。


人によっては超カンタン、激辛広告校正テスト

お客さまの満足度アップに欠かせないのは、消費者視点力です。トップ直通の「投書箱」に苦情が寄せられてからアクションを起こすようではプロとはいえません。

そこで今回は、みなさんの消費者視点力をチェックしてみましょう。答えは「な〜んだ」というものばかり。全問正解を目指してください。

次の広告を読んで、明らかな間違いを見つけてください。ただし、辞書やインターネットで調べてはいけません。〈制限時間:20分〉

【問1】 今年大人気の動物柄のTシャツ。これからの季節にぴったり!
幼園児アニマル柄プリントTシャツ 綿75%・アクリル25% 130〜150cm
本日限り 1,400円(税込)

【問2】 〈当社オリジナル〉ジャガード織カーペットカバー 
アイボリー・ブルー・グリーン 3畳用200×250cm 各2,980円(税込)
*その他各種サイズを取り揃えております。

【問3】 おもてなしの多いこれからの季節に、まとめ買いのチャンス!
国産茶葉使用。低温で抽出したこだわりのおいしさ
伊藤園 お〜いお茶2L 6本パック 1,230円(税込) 18本(箱入) 3,600円(税込)

【問4】 一流ブランドディスカウントショップ『DUNK』 開店15周年記念!!
抽選でハワイ旅行や総額1,000,000万円分の商品券が当たる!
特賞:ハワイ旅行7日間ペア宿泊券(5名)、1等:10万円の商品券(5名)、2等…

【問5】 “夏までに絶対3kgやせたいあなたへ”
当店のジェットバスは、ブルターニュ地方の海塩を使い、乱流が引き起こす小さな気泡で全身をマッサージ。疲れがとれリラックスできます。

*答えは「ひとつ上いくセミナー 第2章-1」をご覧ください。

《受験者の声》
調べたい、と感じる点が多く、広告を作るのは大変だと思いました。〈20歳・専門学校生〉

このようなテストを受けたのは初めてです。いい勉強になりました。〈25歳・会社員〉

校正とは、文字の誤りを直すものだと思っていましたが、内容のチェックもするのだと知り、驚きました。〈26歳・フリーター〉

どれも正しいような違うような…非常に悩みました。〈33歳・会社員〉

全問正解のつもりでいましたが、答えを見てがく然。ちゃんとプロ用のトラップが仕掛けてあったんですね。まいりました。〈33歳・校正業〉

本当にクイズのようで楽しかったです。自分が知っていそうなジャンルでも、意外に確信を持てないとあらためて思いました。〈36歳・パート〉

これまで何十年も何気なく見ていた広告が、テストになるとこんなに難しいなんて考えてもみませんでした。〈40歳・主婦〉

学生のわたしには、【問3】のお茶は高すぎます…どうでもいいことですみません。〈22歳・大学生〉

どのように表示すれば読み手に誤解を与えないか、またわかりやすい表記になるのかなども考える必要があると感じました。〈32歳・大学院生〉

以前に受講した通信教育とまったく違う問題だったので、びっくりしました。〈34歳・主婦〉


誤字脱字防止法

字の間違いを指摘され、恥ずかしい思いをした経験は誰にでもあるはずです。誤字脱字は小さなミスです(さすがに「おこと教室」が「おとこ教室」だったら大問題ですが)。しかしその裏にはさまざまな問題が隠れています。

見直す余裕がない、指摘されたら謝ればいい、ミスに対する関心が低い…。小さなミスを直そうとするかしないか、これは大きな違いです。

誤字脱字を「たいしたことないさ」で片付けてしまう人は、事故を引き起こす要因をいくつも抱えています。反対に「失礼なことをして申し訳なかった」と受け止める人は、もともと誤字脱字をほとんどしません。そして何を書いたかまでよく覚えています。

誤字脱字を減らすには、誰かに読んでもらうのが一番です。人間には思い込みや錯覚という盲点があり、何度も読み返したから大丈夫とはなりません。

ある有名な神社でおみくじを引いたときのこと。「運勢」のところの姿勢が姿勢になっていました。大勢の人の目にふれる印刷物は、ぜひ最終チェックをプロの校正者にお任せください。チェックが1回だけでしたら、そんなに費用はかかりません。


待ってろ! 電通
あっ、待ってなくて結構です。どうぞ先に行ってください。ちょっと言ってみたかっただけなので…すみません。

さて、電通さんと我が社は同じ広告業界でありながら、その役割はまったく違います。電通さんがTVCMやイベントという「空中戦」で消費者の目を引きつけるのに対し、我が社はチラシやカタログといった商品情報をより詳しく紹介する「地上戦」が得意です。

地上戦は、1人当たりの売上が我が社のウン十倍の広告代理店や経営コンサルティングの会社には、決してマネのできない(マネる気にもならない)戦い方です。広告提案にしても「靴下5足組の色がばらばらだと、片っぽに穴があいたとき使い回せないので、5足同じ色のも用意したほうがいいんじゃないでしょうかね」となんともセコいものです。

しかし地上戦でしか知りえない各種広告のイイトコを、提案や校正、制作に活かせるのは我が社の強みです。スポーツ用品カタログのシズル感(元気はつらつ、若々しさ、楽しさ)をおもちゃのチラシに応用したり、「A地区の市外局番は来月から変更では?」と疑問を出して、「そんな細かいところまでよくご存じで」とびっくりされたり(タネを明かせば、別の会社のカタログ校正をしていて知ったのですが)。

*【我が社】 我が社をダンクに置き換えると、読み慣れた文章に戻ります(まあ、これはこれで趣きが)。
*【シズル(sizzle)】 肉を焼くときのジュージューという音のこと。商品の付加価値を消費者にイメージさせることができたら、セールスは成功するといわれています。保険なら安心(校正も)、宝石なら余裕。


安全はトップの責任

ギリシャ神話にプロメテウスという神が出てきます。その名には「先に考える人」という意味があり、プロメテウスにはエピメテウス(後で考える人、後悔する人の意)という弟がいました。弟は兄の忠告を聞かずパンドラを妻に迎え入れ、パンドラはのちに黄金の箱を開け人間界にさまざまな災いをまき散らしました。

日々新聞をにぎわす事故がパンドラのまき散らしたものかはわかりませんが、ヒヤリ・ハットのときに対策を講じていれば防げたものも多いはずです。ひとたび事故が起きればそれまで築いてきた信用を失い、得意先は戻ってきません。重大事故の場合、後処理には膨大な時間とお金がかかり、倒産に追い込まれることもあります。

安全管理に本腰を入れ強化するのはトップの責任です。ヒヤリ・ハットに敏感に反応する人材を集め、商品開発や利益の確保と同じように「安全の目標」を設定しましょう。ヒューマン・エラー(平たく言えばポカ)は「真面目にやれ」と怒鳴るだけでは解決しません。

*【ヒヤリ・ハット】 事故の一歩手前で気がついた、ヒヤリとしたりハッとした出来事。大事故はヒヤリ・ハット300件に1件の割合で起こるといわれています。


机の上は滑走路

ごちゃごちゃした机の上は危険がいっぱいです。A社に提出する書類をB社の封筒に入れてしまったり、会議で使う資料が見つからなかったり…。一方、机の上がきれいな人は「探す」 ということがありません。頭を使いながら整理しているので、どこに何をしまったかをちゃんと覚えているのです。

「机の上は滑走路」。この標語がカッコイイのは、滑走路という言葉で何をどこまですればいいかを明確に打ち出しているところです。「整理 整頓 セキュリティー」のようなおじさん化した標語も、プロの手にかかればこのように変わるのです(プロが作っ たかどうかはわかりませんが)。

標語に限らず「工程表」だって、プロがその気になれば「人生ゲーム」くらいスリリングなものになるはずです(たぶん)。そんなインフラ整備も、どこかのイケてる会社ではすでに行ってるかもしれません。

*【インフラ】 infrastructureの略。快適な生活や仕事をするために必要な設備やシステムのこと。


使わない色を作る

看板には「あの色なら○○屋さん」という暗黙のルールがあります。そうでなければいけないというわけではありませんが、学習塾は、旅行代理店は、葬儀屋さんは、園芸店は、中華料理は、カレー屋さんは、などが一般的です。もし焼き鳥屋さんの赤提灯白提灯だったら、つけ麺屋さんと間違う人も出てくるでしょう。

企業はさまざまなシチュエーションで「消費者の目にどう映るか」を考え、色にも趣向をこらしています。例えば広告の目的よって、贈答用のバスタオルの写真をブルーピンクベージュと使い分けたり、季節に合わせて「新発売」のピクトを春夏は水色、秋冬はオレンジに変えたりしています。

またスーパーのチラシは、98円セールのようなディスカウント型のときは1色刷り、シズル感を強調したいメニュー提案型のときは4色刷りです。明光義塾で配色したチラシは「名門(大手)、楽しさ」がよく表れています。ソフトバンクの黒とグレーのシンプルな看板も、きちんとした印象を与えます。

ある鉄道会社の自動改札は、チャージ残額が1,000円以上だと黒に白文字なのに、1,000円未満になると黒に赤文字に変わります。この色は見づらい上に「恐怖、威圧」といった裏サイトのイメージもあります。色の取り扱いには十分ご注意ください。

*【ピクト】 pictographの略。絵文字や商品特徴を表すマークのこと。


閉店したら電気は消す
とっくの昔に閉店してるのに、深夜もこうこうと電気をつけっ放しにしている看板やショーウインドー。「ここにこんなお店がありますよ」とアピールしたいのはわかります。でもCO2削減がこれだけ注目される中、イメージを悪くしているだけではないでしょうか。

結局その電気代もお店でかぶるか、価格に反映されるわけですから、どちらにしてもいいことはありません。一方、店先を季節の草花できれいに飾り、「こんなに手入れが行き届いているんだから」と好感度をアップさせ、お客さんを獲得しているお店もあります。

閉店したら電気を消す。これはお店のマナーです。看板の電気がついているから暖簾(のれん)をくぐったのに、「すみません、もうおしまいなんですよ」なんて言われたら、ムッときますよね。「ついうっかり」にはお気をつけください。


「お売り下さい」のすごさ
キャッチコピーの役割は、読者にどうして?と思わせて、本文も読んでみようかなという気にさせることです。言いたいことを最初にずばっと言ってしまうと、そこで打ち止めです。

四谷学院の「なんで、私が東大に!?」はその成功例です。これを読んで、ここに通えば東大に入れるんだと思う人はいません。ただ、参考になりそうだからもう少し先まで読んでみようかな、という気にはなります。もしキャッチコピーが 「他にはない、『ダブル教育』」だったら、先を読みたくなるでしょうか。

ブックオフの「お売り下さい」を初めて見たとき、ヘンな日本語と思った人は多いはずです。しかしブックオフはこのヘンな日本語で古本屋のイメージを一新しました。

それまでのリサイクル業界は「高く買います」が普通でした。それが今では宝石、衣料、家具、車などどこも「お売り下さい」を使っています。たしかに「お売り下さい」とお願いされると、「高く買います」が上から目線に見えてくるから不思議です。


その「お得」、ちょっと待って!
「1セット 5,000円、5,000円でのご提供となります。さらに本日は2セットお買い求めになると9,600円、9,600円とたいへんお得です」。

テレビショッピングを見ている主婦は、「たいへんお得」という言葉に敏感です。もともとの「1セット 5,000円」が超お買い得だとしても、2セット買ったときの値引きが400円だと「そんなに安くないわね」となります。

この「安くない」というイメージは、へたをするとこの番組で扱うすべての商品に悪影響を及ぼします。ですからこの場合、単に「9,600円になります」とか「少しお得です」のほうが適切なのです。

「今回はこれにプリンターまでお付けして、なんと39,800円、39,800円でご提供させていただきます」。「たいへんお得」や「なんと」という言葉は、ほんとね♪と消費者の共感を得ることができなければ逆効果になります。主婦の好きな言葉は「大特価」や「激安」といった抽象的なものではありません。ずばり「半額」です。


日本一の国語辞典
広告ではほとんどの場合、「日本一、NO.1、トップ、最適」といった最上級の表現はNGです。しかし堂々と、「日本で一番売れている」と宣言している国語辞典があります。それは三省堂の『新明解国語辞典』です。まじめなのか不まじめなのかよくわからない「シャープな語釈と実感あふれる用例」をいくつかご紹介しましょう。

れんあい【恋愛】 特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと。

にげる【逃げる】の用例 刑務所から逃げる。

「全てを犠牲にしても」「二人だけでいたい」…青春映画のあらすじみたいです。【逃げる】にしても、「刑務所から」って発想は普通じゃありません。「動物が檻(おり)から」でも「運動部員が合宿所から」でも良さそうなもんですが、こんな意外性が日本一の秘けつなのでしょうね、きっと。


わたしが責任者ですシール
安全管理の基本は、「いつ、誰が、何をしたのか」を記録に残すことです。これは、後日問題が起きたとき、「誰が悪いのかをはっきりさせる」という後ろ向きの理由もありますが、それだけではありません。

例えば映画の最後に、出演者、製作スタッフ、スポンサーなどの名前が出てきますよね。あれをエンドロールといいます。エキストラの通行人役でも、もしエンドロールに名前が載るとなれば、何となく晴れがましいし、会心の演技をしようって気になるはずです。

スーパーの野菜売場で見かける「わたしが作りましたシール」。畑を背景にニコニコ顔の生産者が写っているシールが貼ってあって、値段も少し割高となれば、「ほかより安全で、おいしいのかな」と思えてきます。

「わたしが責任を持って、この企画を考えました」「わたしが責任を持って、この実績表を作りました」「わたしが責任を持って、この稟議書を承認しました」…。もしトップの方が社内文書に目を通していて、「どうもうちの連中は検証が甘いなあ」と感じるようでしたら、印鑑の代わりに顔写真入りのシールを貼るようにしてはいかがでしょう。


非まじめのススメ
日本動物行動学会さんが発行する『NEWSLETTER』(2004.1)に、アリの集団行動を研究した報告書が載っています。その一部を紹介すると、アリには「お利口」と「ややバカ」と「大バカ」がいて、「大バカ」の一見非効率的に見える行動が、ときに近道を発見したり、新しいエサ場を見つけたりと、全体の効率アップに貢献することもある、というものです。

ここでお伝えしたいのは、「バカとはさみは使いよう」ということではありません。この報告書のタイトルです。報告書や論文といえば、「バーチャルリアリティ技術が地球温暖化に与える影響とは」とか「日本企業に適した被災地支援システムの構築」というような、ハードボイルドなものばかりだと思っていましたが、これは違います。

お利口ばっかりでも,たわけばっかりでもダメよね! 「集団」行動の最適化

………思考がついていけません。でも、日本動物行動学会さんはこれでOKなんですね。ふところの深さを感じます。ぜひみなさんも、報告書を作るときの参考にしてください。 


QRコードの怪

見たいサイトに簡単にアクセスできるQRコード。利用者には便利でも、校正の立場からだとちょっとやっかいな代物です。

まず、ケータイを使って「読み取りテスト」を行わないと、常識チェックができません。それでもごくごくまれに、「印刷したらNG」とか「別のケータイだとNG」とかがあるそうです。その原因は、スミ1色で作ったQRコードが4色分解に化けちゃうこと。校正では1色か4色かなんてわかりませんので、制作や印刷にたずさわるみなさんもチェックが必要です。

また、バレンタインとかクリスマスのような季節限定サイトだと、校正終了時点ではまだそのサイトが「工事中」ということもあります。その場合は校正紙に、「(工事中のため)QRコード未確認です」と申し送りをすることになります。

そんな中、今盛り上がっているのが「キーワード検索」です。最近はau by KDDIさんが「岩崎さん」なんてすごいキーワードを出してきましたが、実はダンクも「校正会社」とか「広告校正」で検索するとトップなんですよ。

*「QRコード」は(株)デンソーウェーブの登録商標です。
*「校正会社」や「広告校正」は(株)ダンクの登録商標でも何でもありません。


「ある愛の詩」なら映画感傷券!?
基準と規準、精算と清算、保証と保障など、意味が微妙なときは辞書を引きますが、釈然としないことってありませんか? そこで役に立つのが『朝日新聞の用語の手引』

例えば体制と態勢。「体制は恒久的」で「態勢は一時的」だそうです(なるへそ)。観賞と鑑賞は、「映画は、実情に応じて使い分ける」とあります。ということは、前売券は「映画賞券」でも、その映画をDVDで観ると「DVD賞」ですかね(ややこしい)。夏季と夏期は、「花火大会は夏季」で「講習会は夏期」。雨季と雨期は、「雨期で統一」となります。

また、製作と制作のように「混用されている」ものもあります。そこで広告校正では、明らかな誤用以外は問題にしません。また、紙面に混在して気になるときは、まずお取引先の印刷物(刷見本)を調べ、それでもどちらかはっきりしなければ、「○○で統一しては?(朝日新聞の用語の手引より)」と疑問を出すようにしています。


ライバルをほめる
みなさんにとって競合相手は、お客さまを奪い合うライバルでしょうか。それとも一緒に業界を盛り上げていくパートナーでしょうか。

自社の良いところを説明するとき「アフターサービスがいい」とか「故障が少ない」という言い方はよくありません。なぜでしょう? それは遠回しに競合相手の悪口を言ってることになるからです。

そんなときは「当社はすごい」と言うのではなく、「他社はすごい。でも当社はもっとすごい」というレトリックを使いましょう。例えばケーキ屋さんが「〇〇菓子店さんは、すごくいい材料を使ってます。だからうちも牛乳は北海道、卵は青森から仕入れてるんですよ」と言えば、食材へのこだわりがより際立つのではないでしょうか。

*【レトリック(rhetoric)】 言葉を巧みに使って、美しく効果的に表現する技術。


デメリットは正々堂々と

おとり広告や不当表示を取り締まるのが、「不当景品類及び不当表示防止法」です。新聞などでは「景品表示法」とか「景表法」と略されています。事実とくいちがう表記でなくても、「デメリット表示の文字が小さすぎる」とか「限定数があいまい」という場合も景表法にひっかかります。

公正取引委員会(略して公取委)のホームページをのぞいてみると、名立たる企業が警告排除命令の処分を受けていることがわかります。自社の商品を魅力的に見せたいあまり、知らず知らずのうちにラインをオーバーしてしまうのでしょう。

また、公取委の認定を受けて、エスカレートしがちな不当表示を防止するために、業界が自主的に作ったものが「公正競争規約」です。不動産広告でおなじみの「駅から徒歩○分」は、1分間を80mで算出するというこの規約によるものです。食品業界では、【最高 極上 一番 ベスト  チャンピオン】【老舗 元祖 本場 本格】【自然 天然 ナチュラル】【生 新鮮 フレッシュ ピュアー 純】【手造り 焼きたて】などの用語が、使用禁止か客観的な根拠に基づく場合でなければ使用できません。

*「景品表示法」は2009年9月、公正取引委員会から消費者庁に移管されました。


パタパタは広告校正の税金

最近は赤字のない箇所での事故が増えています。cmや(株)のような特殊文字の化け、コピペミスや先祖返りやデザイナーさんの勘違い…。

赤字どおりに直っていても、その修正が思わぬところに影響する場合もあります。
●トマトの価格が変更――あれ? 夕方のタイムサービスより安くていいの?
●靴が全部カット――あれ? タイトルは「靴とカバンがお買い得!」でいいの?

ですから、「予算がなくて」とか「プロに頼むほどの内容じゃないから」という理由で、本来の仕事以外に校正を兼務しているみなさんが、もし赤字のところしか見ていないとしたら、そうとう危ない橋を渡っていることになります。

パタパタは赤字検版をする人の「義務」です。検版者は内容を読み込みながら紙面全体にパタパタをかけ、化け探しと整合性のチェックを同時に行わなければなりません。

でも忙しくてパタパタなんてムリ、という方もいらっしゃるでしょう。そんなときは赤字の周りに目を光らせ、1分間ながめてください。これだけでも立派な安全対策になります。


象を冷蔵庫に入れるには
クイズには考えて楽しむものと、答えを聞いて楽しむものがあります。後者の代表的なものに「象を冷蔵庫に入れる三つの手順は?」があります。

答えは「冷蔵庫を開ける⇒象を冷蔵庫に入れる⇒冷蔵庫を閉める」です。このクイズは「そうかそうか。家の冷蔵庫じゃなくて、倉庫にあるようなでっかいヤツのことね」というヤラレタ感が楽しいので、そんなバカな!と思う人は、頭が四角くなっています。

では本題。書類を封筒に入れる四つの手順は? 三つではなく、四つのところに注目です。答えは「封筒を開ける⇒中に何も入っていないか確認する⇒書類を入れる⇒封をする」です。どんなに簡単な作業でも、確認は必要です。

仕事の材料がせっかく昼に届いたのに、忙しいのでそのままに…。夜、材料が足りないことに気付き電話してみたが、みなさん帰った後だった、では困りますよね。実際に手を付けるのは後からでも、材料が過不足なく届いているかはすぐに確認しましょう。


外側5mmには書かない

カタログやパンフレットを作る際、数十社あるいは数百社から情報を集めて、その取りまとめをするのが「編集事務局」です。原稿や訂正指示のやり取りはファクスで行うのですが、これがなかなかの曲者(くせもの)。字が小さいとツブレ、薄いとカスレ端っこに書くと印刷されません。

ツブレやカスレは「あ〜でもない、こ〜でもない」と一応解読を試みますが、結局書き直していただくことになります(一番確実)。問題は端っこに書いてあるケースです。文字の3分の1でも見えればなんとかなります。しかし、すっかり隠れてしまったら…誰もそこに「何か」があるとは思いません。

もし、訂正指示を書くスペースが十分にないなら、出力紙をひとまわり大きくし、その上で「赤字は、読みやすい字で、この線(端から5mm)の内側にご記入ください」と印字しておきましょう。お客さまにこの2点を留意していただければ、赤字を書き直していただくというようなお手間を取らせることもありませんし、広告の完成度はぐ〜んとアップします。


おだいりさまは左側
毎年、ひな祭りの季節になるとドキドキしてきます。といっても、この時期に胸がキュンとなる思い出があるわけではありません。それは、ひな祭り用のケーキ屋さんやお寿司屋さんのポスターで、「お内裏(だいり)さまとおひなさまの並びが逆!」という間違いをときおり目にするからです。

一般的に、お内裏さまは「向かって左」が正しく、広告校正のチェック項目にもなっています。結婚式の記念写真も、新郎は「向かって左」ですよね。調べてみると、もともと「向かって右」だったものが、昭和の初め頃、西洋文化にならって今の形になったそうです。だから、今でも古式にのっとったひな飾りは「向かって右」でいいそうです。

日本人形協会さんの公式サイトには、「いずれを用いるのも自由」とありますが、油断は禁物。トップページのお内裏さまはやっぱり「向かって左」になっています。危ない危ない。


校正記号はなぜ片仮名?

校正記号はなぜ片仮名で書くのでしょう。それには二つの理由があります。もっともポピュラーな校正記号の「トル」を使って説明しましょう。

一つ目の理由は、平仮名で書くより早いから(私がこじつけたものなので、あてにしないでください)。そしてもう一つの理由が、修正ミスを引き起こさないため。文中に片仮名の「トル」が出てくることはそんなにありません(トルコとかタイトルとか)。でも平仮名の「とる」はあちこちに出てきます。だからスポッとはまると、赤字を直す人が「とる」と打つかもしれないのです。

では片仮名で書いておけば何でも大丈夫かというと、そうでもありません。例えば「サブマリン」を「マリン」にする赤字はどう書けば安全でしょう? 「サブ」を囲って「トル」と書いたら――あらら「トルマリン」になっちゃいました。書き方がヘタだとこうなります。

この場合は「サブマリン」を全部囲って「マリン」と書けばいいのです。赤字は直す人が絶対間違えないように書いてあげることが大切です。事件が起きてから、そんなの見ればわかるだろ!と怒っても、後の祭りです。


会社まで歩く
ぎゅうぎゅう詰めの通勤電車。むし暑い季節だとますますイヤになりますよね。でも、みなさん。電車って、ありがたい乗り物だと思いませんか? ぜんぜん思わない…あっ、そう。そんな罰当たりのみなさんにおすすめなのが、「会社まで歩く」という冒険です。

まず、インターネットの「MapFan Web」にアクセス。「ルート検索」を使って、自宅の住所を「出発地」に、会社の住所を「目的地」にして距離を調べます。移動手段は「徒歩」を選択。時速3kmってところが現実的ですね。わたしの場合、24kmで8時間と出ました。もちろん1日で24kmなんて無茶なことはしません。疲れたら近くの駅から電車で帰り、いずれまたそこからスタートすればいいのです。

休みの日に定期券を持っていよいよ出発。空気の良くない大通りは避け、できるだけ緑の多い脇道を歩きます。途中、学生街の喫茶店で♪わけもなくお茶を飲み、行列のできるお肉屋さんのメンチカツをほおばりながら、5日間でみごと走破、いえ完歩しました。「5日はかかりすぎ」なんて言わないでくださいね。ちょうどのどが渇くころになると、あちこちに「ホッピー」のちょうちんが…。飲酒は20歳になってから。お酒は楽しく適量を。飲んだ後はリサイクル。

*【学生街の喫茶店】 フォークグループ「ガロ」の1973年のヒット曲。作詞 山上路夫(翼をください、私鉄沿線、岬めぐりetc.)、作曲 すぎやまこういち(恋のフーガ、モナリザの微笑、ドラクエシリーズetc.)。


DANK 15th Anniversary

2009年6月、ダンクはどうにかこうにか設立15周年を迎えることができました。そこで今回は、「15歳」にまつわる歌を特集します。

まずは鉄板、♪盗んだバイクで走り出す〜 尾崎豊「15の夜」です。「無免で…」という歌を、プロデューサーから「そんなの誰も聴きたくないよ」と言われ(グッジョブ)、作り直したのがコレ。学校の教科書に載ってると知って、「なんだかなあ」という気分です。

次はアンジェラ・アキ「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」。教科書行き間違いなしの「2008年NHK合唱コンクール 中学校の部」の課題曲。ねじけたハートにジンとくる、純度の高い歌です。

♪十五 十六 十七と 私の人生 暗かった〜 藤圭子「圭子の夢は夜ひらく」。この歌は、「ひろしの夢は夜ひらく」「亜紀の夢は夜ひらく」「キンキンの夢は夜ひらく」「甚八の夢は夜ひらく」など、いろいろなバージョンがあります(げらげら)。

原曲が歌われていたのは、なんと練馬少年鑑別所! プロはすごいところにまでアンテナを張りめぐらしているんですね。さすがにこれは教科書に…って調べたら、あらまあ、ちゃんと載ってました。

最後は童謡「赤とんぼ」。♪十五で姐(ねえ)やは嫁に行き お里のたよりも絶えはてた〜 う〜 ん、これも暗いですね。「夢は夜ひらく」のメロディーで歌えますもん。

ちなみに「姐や」は、「お姉さん」ではなく「子守り奉公の女の子」のこと。一番の♪ おわれて見たのはいつの日か〜 は、「追われて」ではなく「負われて」。つまり、子守り奉公の女の子におんぶされて、という意味になります。


ここのチェックシステムはすごい

仕事を通じて学ぶことは、どれも役立つものばかり。その中でも、今回ご紹介する某百貨店さんのチェックシステムは、間違いなくナンバーワンです。

予定表にはふつう、「(月)初校出し (木)初校戻し」くらいしかありませんよね。しかしこの百貨店さんでは、チェック時間がバイヤーさんごとに決まっているのです。

チェックは「バイヤーさんにおまかせ」ではありません。販促さん、バイヤーさん、校正(わたし)の3人で行います。予定の時間になるとバイヤーさんが販促部にやって来て、販促さんが原稿を読み、バイヤーさんとわたしは校正紙に誤りがないかを見ています。

原稿の明らかな間違いやNGワードの箇所に来ると、販促さんが「最適はNGなので、ぴったりに変えました」というふうにバイヤーさんに確認をとります。そして、ひと商品読み終えるたびに、「校正さん、何かありますか?」とわたしに声がかかります。

気になる点があればここで伝えます。「これから老眼鏡を買う人が対象だとすると、もう少し若いモデルさんにしたほうが良いのでは?」とか「人工芝の上で撮影しているので、キャンプ場というよりマンションのベランダに見えますが?」とか。これにバイヤーさんが回答し、次回の色校ではすべてそのとおりに直っています。

*【バイヤー(buyer)】 商品を仕入れる人。「寝具」「収納」「アウトドア」…それぞれにバイヤーさんがいます。


プロのプレッシャー

プロゴルファーが1メートルのパットを外す確率は、30%といわれています。こんなことをいうと、「なんだ、オレのほうがうまいじゃないか」と思う方もいらっしゃるでしょう。でもそれは、失敗しても笑ってごまかせるからです。

さて、校正の話です。印刷部数1000万枚のチラシや100万部のカタログで、もし見落としがあったら…笑って済む話ではありません。99点は0点と同じ。誤字の見落とし、画像の確認もれ、疑問の出し忘れ、ピクトの消え残しなど、たった一つのポカで評価はゼロ、いえ、その後の扱いはミミズやオケラやアメンボ以下になります。

ですから、もしみなさんが超特急の校正をかかえていたら、間違ってもプロに頼んではいけません。自分でやるか、手の空いてるどなたかに頼みましょう。パーフェクトしか許されないプロの要する時間は、みなさんの3〜5倍とお考えください。


「写真はイメージです」の境界線

食品の広告でよく目にする「写真は調理例です」や「写真は盛付例です」。こんな問題なさそうなコメントでも、常識チェックをしておかないとおかしなことになります。例えばお皿に梅干が盛り付けてある写真に「写真は調理例です」と入っていたら、「煮たり焼いたりしたのかな?」と思う人がいるかもしれません(いませんけど)。

こんなポカを防ぐ便利なコメントが「写真はイメージです」なのです。これなら調理例、盛付例に関係なく使えます。しかし安全牌(ぱい)だと思っていた「写真はイメージです」にも、思わぬ死角がありました。

ある市役所の掲示板で見かけた「市民マラソンのお知らせポスター」。そこに使われているイメージ写真はボストンかベルリンかって感じで、ぜんぜん市民マラソンに見えません。作った人も「これはまずい」と思ったのでしょう。ごていねいに「写真はイメージです」のコメントをつけていましたが、さすがにこれは無理ですねえ。


お札の向きはその日の気分

人によると、お札の向きを揃えるのは、靴を脱いだら揃えるのと同じ、たしなみなのだそうです。だとすると、銀行のATMは相当無礼なやつです。わたしの記憶では、お札の向きが揃って出てきたためしがありません。

銀行の商売道具は、貯金箱やティッシュボックスやメモ用紙ではなく、「お札」のはずです! なのになぜ、お札の向きがバラバラなのでしょう? 「お札の向き揃えるマシーン」はないのでしょうか。

ある日のKIOSK。ストライド メガミステリー(ガム)を買うのに1万円札を出したところ、お店のおばちゃんが「小さくなりますが」と言って、向きの揃った千円札9枚と870円をお釣りでくれました。う〜ん、いい気分。銀行も1台くらいは「たしなみを心得えたATM」にしといてくれればいいのになあ…機械の後ろに向きを揃える人がいて。

*【KIOSK】 カタカナ表記だと、JR東日本だけ「キスク」、ほかは「キスク」。


割れ窓理論

「割れた窓ガラスをそのままにしておくと、それが『ここの窓ガラスは壊してもいい』というサインになる」。これが環境犯罪学の「割れ窓理論」です。たしかに、きれいな道にポイ捨てするのは気が引けますが、あちこちに吸殻が落っこちてるところだと、ここならいいかという気になります(コラ!)。

この理論が言わんとしているのは、「殺人、強盗といった凶悪犯罪を減らすには、刑罰を重くするのではなく、ポイ捨て、落書き、駐車違反のような小さな犯罪の取り締まりを強化しなさい」ということです。

仕事も同じで、事故やクレームを減らすには、ペナルティーを重くするのではなく、報告書やメールの誤記、メールファイルの添付もれ、マナーモードのし忘れのような、日々のささいなミスを減らしていくことが大切だと思います。

もしみなさんが今働いている会社の社長さんだったら、事故やクレームを減らすためにどんな手を打ちますか? 「うっかりの多い部署はつまらないミスも多いはず」。そう考えると、失敗コピーの枚数を毎月カウントしてみるのも面白いかもしれません。


よくあるお悩み

Q 広告代理店の営業をしています。プロに校正を頼みたいのですが、上司が校正の必要性を理解してくれません。どうすればいいでしょう?

A 「広告の制作費には『校正代』という項目がないのが普通です。それは、もし原稿が完ぺきで制作会社がミスをしなければ、校正なんて必要ないからです。しかし、そんな原稿や制作会社がはたして存在するでしょうか。

印刷事故の損失は、刷り直し代だけではありません。失った信用、さらなる営業コスト、クレーム処理に費やす時間やストレス――。事故の原因が先方にあったとしても、いいことは何もありません。なぜ見つけられなかったのか、今後どうそれを防ぐのか、などで一つか二つ作業工程が増えることになるでしょう。

しかし、もしその事故を防ぐことができたらどうなるでしょう。先方との信頼関係は揺るぎないものとなるはずです。そこで営業戦略の一環としてプロに校正を頼み、『安全』で他社との差別化を図ることを考えていただけないでしょうか」

そう上司の方にお伝えください。ファイト!

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