有限会社ダンク
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仕事に役立つ、校正の教科書 

疑問は話すように書こう
 疑問は、「どこをどうしたいのか」と「なぜ困っているのか」を、目の前の人に話しかけるように書くのがコツです。書き方がへただと読み手にストレスをあたえ、「この校正者はダメだ!」ということになります。

1 初めに「結論」を書きます。明らかにおかしなときはこれだけです。
  良い例/日付と曜日、矛盾しますが?
  
悪い例/12月2日は(水)ですが、(木)でOK? あるいは日付が間違い?
         
・・・明らかな間違いなんですから、OKのわけがありません!
           また、ぐだぐだ書いてあるので読む気がしません。

2 結論だけだと、「なぜ疑問にしたのか」意味が分からないこともあります。
  そんなときは必ず「理由」も書きましょう。
  良い例/「S」大文字でOKですね? (原稿は小文字ですが)
  悪い例/「S」大文字でOK?
       
・・・どうして疑問になったのか、理由が分からないのでイライラします。

3 文章がおかしなときは、「・・・としては?」を使いましょう。
  良い例/「値下げしました」としては? (価格を値下げしました、は重言なので)
 
 悪い例/文章ヘンですが?
       
・・・どうすればいいのか、考えるのが面倒なのでほっとかれます。

ぎもん【疑問】 グレーな部分を先方に問い合わせ、白黒はっきりさせてもらうこと。


価格は電話番号のように読もう

 一般的に校正者は「漢字に強い!」と思われていますが、広告校正に限っていえばそんなことはありません。
 難しい漢字は、誰もが気をつけるので間違えることはありません。しかし、普段よく目にしている文字はさらっと読めてしまうぶん、見落としやすいのです。
 税と税、午と午、以と以AMとPM、取扱いますと取扱いません・・・など、1字の違いで正反対の意味になってしまいます。

 また数字は、商品番号・サイズ・限定数・売り出し日・営業時間・電話番号など、すべて1字違うだけで致命的な事故となります。
 その中でも一番注意しなければいけないのが「価格」です。そこで、1,980円なら「いち かんま きゅー はち ぜろ えん」と確認しましょう。

 広告校正に必要なのは漢字力ではなく、「あれ? この画像ナンバーは変わったはずだけど?」という記憶力と、「この箱にこのサイズのお皿は入るの?」と瞬時に反応できる数字のイメージ力です。


2つの角度から見よう
 ダンクの仕事はつねに、校正者と消費者、両方の視点からのチェックが求められます。

 例えば「カーネーション(3本)の写真」をチェックする場合、校正者の目では「きれいに咲いたカーネーションが3本あるからOK」となりますが、消費者の目ではOKになりません。それは、つぼみが1本もないと長く楽しめないので、買う気にならないからです。

 消費者の目で見る、これは難しいことではありません。
 スーパーで牛乳を買う時、コンビニで雑誌を買う時を思い出してください。どこを見て、「これにしよう」と決めていますか?


検算は最初と最後にしよう
 割引率、税込価格、クレジット払いなど、1回目の検算は「原稿」で行います。その後、価格に訂正が入った時は(必ず入りますよね)、その都度忘れずに検算しましょう。

 計算が合わないからといって、勝手に直してはいけません必ず疑問にし、先方に確かめましょう。「売価」「定価」「割引率」「税込価格」・・・どれが間違いなのかは、原稿を書いた人にしか分かりません。

 2回目の検算は「最終校正紙」で行います。こうすれば万が一校正ミスがあったとしても、ぎりぎりで発見できます。

 それぞれの計算は次のように行います。*電卓がCASIOの場合。

●税込価格は 税込 ボタンで一発です。
 
ACを押さなくても続けて計算できます。もちろん、本物のプロは押しません。
●割引率は 
売価 − 定価 % です。こちらもACは不要です。
●クレジット払いは
M+MRを使います。12回払いで、初回12,000円、残り11回が11,500円なら、12000M+11500×11M+ MRで138,500円となります。次の計算をする時はMCを押します。


誤字を覚えよう
 「この字、間違ってますね」「あっ、ホントだ。何回も見たんだけどなあ・・・」。お客さまがお持ちになったカタログをさっとながめただけなのに、誤字が目に飛び込んでくることがあります。

 誤植のパターンをたくさん覚えていると、危険な字が出てきた時「正しいか」ではなく「あの字になっていないか」と見ることができます。

 蜂なら蜂、横なら横、茶なら茶、内肉なら内肉、々麺なら々麺、週誌なら週誌、り出し物ならり出し物、量設計なら量設計、面入力端子なら面入力端子、熱防止センサーなら熱防止センサー、期待にえるなら期待にえる、古都をねるなら古都をねる・・・。調豆乳と無調豆乳はややこしいので要注意です。

 このパターンを増やすには、うっかりしそうな誤字に出会ったら、こまめにメモをとることです。1年もすればベテランと同じ「経験値」になれます。そうなれば、紙面(誌面)のこのあたりに何かありそうだ、とピンときます。


赤字の前後をしっかり見よう
 「9月3日〜8日」「●●ごを利用ください」「受付●●:午前9時から午8時まで」「●●とさせていだたきます」・・・。
 の部分を修正する際、このような文字化けが発生することがあります。
 なぜ、このようなことが起こるのでしょう。それを知っているのは手を動かしたデザイナーさんだけです。

 もし赤字の部分しか触らなければ(また触ったとしてもその後きちんと確認すれば)、ゼロは無理としても、化けの相当数は防げるはずです。
 しかし実際は、赤字以外の部分も同じと勘違いしてその周辺までコピペしたり、1行そっくり文字を打たなければ直せない場合で入力ミスに気づかなかったり、不注意で別の場所を直してしまったり、などなどでなかなか減ってくれません。

 また、文字が化けるのではなく、落ちることもあります。
 「自然水を利用」の「自然」を「天然」に変える際、もともとあった「水」が落ちて、「天然水を利用」が「天然を利用」になってしまうケースです。
 赤字検版(赤字消し)では「赤字の部分と
その前後」をしっかり見るようにしましょう。


事故事例から学ぼう
 世の中の重大事故のほとんどは、機械の誤動作ではなく、人間のポカによるものです。それは広告づくりも同じで、いろいろな部署でポカが発生しています。
 原稿記入ポカ、文字入力ポカ、レイアウトポカ、コピペポカ、設定ポカ、ドッキングポカ・・・ そして、最後まで誰にも見つけられなかったポカが、事故やクレームになります。

 どこかのポカで事故が起きた時、「それは校正の責任ではない」と突っぱねる校正者もいれば、そういうポカを想定して事故を未然に防いでいる校正者もいます。

 どれだけポカを想定できるか、そのためには「事故事例」を勉強するのが一番です。過去の失敗例を見て、今のやり方でその事故が防げるかを点検し、無理だとしたら新しい方法を考えましょう。
 
1,980円1,900円だった時、エラーを知らせてくれる機械はまだありません。


刷見本やウェブで調べよう
 もし原稿に「ケイタイ」と書かれていたら・・・。ふつうは 「ケータイ」ですよね。でもだからといって、すぐに疑問や赤字にはしません。刷見本(すりみほん)で調べ、こう書きます。
 
ケータイ? (刷見本P.85より)

 この時、「刷見本より」だけだと失礼です。必ず何ページかを書いてください
 「常識的なものは『赤字』でいいよ」というお客さまならこうなります。
 ケータイ   OKですね?(刷見本P.85より)

 次は、原稿のメーカー型番は「2」だけど、このメーカーの法則だと「Z」じゃないとおかしいという場合。まず刷見本で同じものがないかを探し、すぐに見つからなければウェブで調べます。ただウェブには誤っ た情報もたくさんあるので、信用できるのはお客さまのウェブサイトだけです。
 検索して「Z」だと分かったらそのページをプリントし、
「●ページの別紙」と書いて校正紙に添付します。
 
Z?(別紙より)

 原稿の誤りが刷見本やウェブで判明しても、こっそり直してはいけません。必ず疑問にしてお客さまにお知らせしましょう。
 
刷見本やウェブのほうが間違いかもしれないし、パンフレットもチラシもPOPもウェブも通常は同じ原稿で作っているので、ダンクで扱っていない広告も直してもらいましょう。


色の意味を考えよう
 「ここだけ色が違うのはどうしてだろう?」と考えるのはとても良いことです。広告では、色が「なにかのメッセージ」と連動していることがよくあります。
 エコ商品の
商品番号を緑にしたり、旅行パンフレットの日付を料金ごとに色分けしたり、同じピクトでも春夏は水色秋冬はオレンジと使い分けたりしています。

 「色の法則」が分かっていれば、何かが変更になったとき“Aが変わったらBも変わる”と反応できます。上の例でいえば、その商品がエコ商品の対象外になったら番号の色がからになり、宿泊料金が変わったら日付の色も変わります。

 チラシの催し物の文字の色がPOPと連動しているか、カタログのツメの色がフォーマット通りか、などをチェックするのも校正の仕事です。1ページずつではなく、まとめてチェックするとの違いや位置のズレもカンタンに発見できます。

ピクト 【pictograph】の略。絵文字や商品特徴を表すマークのこと。


忙しいときはゆっくり歩こう
 AとBを反対にしてしまった! 疑問を出し忘れた! 曜日チェックをしなかった! ・・・初校からの誤りを、校正者が2人、3人とスルーして事故になった、というケースはごく僅かです。しかし、「最終訂正」でやるべきことをし忘れて、という事故は過去に少なからずあります。

 時間に追われると、普段なら当たり前のことができなくなります。だから、“最終訂正はダブルチェックではなく、トリプルチェックをする”くらいの慎重さが必要です。
 みんながあわてているときも、
「司令塔」の窓口さんだけは落ち着いていましょう。指示モレは即事故となります。読み合わせをお願いするときも、「読み手の人はときどきわざと間違えてね」とマニュアルを念押しするくらいの「ゆとり」がないといけません。

 作業手順を早口で伝え、最後に「急いで」なんて付け加えたら、もうアウトです。伝え忘れもあるでしょうし、訊きたいことがあってもピリピリしたムードだと、声をかけづらいので“だろう判断”する人も出てきます。
 みんなが浮き足立っている、そんなときだからこそ、ゆっくり歩き、ニコニコして、「大丈夫だからね」という演出が必要なのです。


同じ文字はまとめて見よう
 常識チェックやパタパタの際、同じ文字や順番に並んでいる文字は、それだけをまとめて見ていきましょう。例えば、注文番号が301-01 301-02 301-03・・・となっていたら、「301」だけを見ていきます。そうすると301 301 310 !? とカンタンに間違いを見つけることができます。
 001 002 003・・・も順番に見ていくことで、番号の飛びや重複のチェックになります。これはABCの場合も同じです。ロゴのチェックも曜日のチェックも割引計算もまとめて行いましょう。

 あらゆる作業にいえることですが、大切なのは「一度にチェックする項目を欲ばらない」ということです。「アレをしながらコレも」というのは精度が落ち、やり忘れの原因にもなります。私たちの記憶装置はそんなに優秀ではありません。一つ終わったらその次を、としたほうが確実です。


誤字は目をつぶって見つけよう
お客様  ダンクさんって、ほかの校正会社とどこが違うんですか?
 
校正会社の違いって、難しいですよね。だから、こんな「ど真ん中」の質問も十分予想されます。さて、あなたならどう答えますか? 

ダンク  はい。会社からは「字の間違いなんか目をつぶって見つけろ」と言われています。
 
これでは答えになっていません。でも、これでいいんです。次は必ずこう訊かれます。

お客様  へえ!? じゃあ、目を開けているときは何をするんですか?
ダンク  会社からは「常識チェックをしろ」と言われています。
お客様 常識チェックってなんですか?
 
そうこなくっちゃ!

ダンク  例えば、カーネーション3本の写真を確認するとき、きれいに咲いたカーネーションが3本写っていれば・・・
お客様  いいんじゃないでしょうか?
ダンク  いえ、ダンクではOKになりません。それはぜんぶ咲いたものより、つぼみのあるほうが売れるからです。だから「つぼみのある写真に変更しては?」と疑問を出すようにしています。


同じ言葉で話そう
 ダンクで使っている校正用語のなかには、一歩外に出たらちんぷんかんぷん、というものがいくつもあります。
 例えば刷り出し。ダンクでは「最終校正」のことですが、本来は「きちんと印刷されているかをチェックする」という意味です。付け合わせも辞書だと「肉料理などに添えるフライドポテトやにんじんグラッセのこと」となり(笑)、「突き合わせ」や「引き合わせ」に比べて、重厚感で負けてる気がします。

 パタパタは「あおり検版」「アオリ校正」「重ね検版」「めくり合わせ検版」「パタ校」、赤字検版は「赤字消し」「赤字ツブシ」「赤字直しの確認」、常識チェックは似たような作業で「校閲」「素読み」「素読(すどく)」があります。
 チラシ校正で毎日使う
基本版は「ベース版」「基版(きはん・もとはん)」「オモ版(母版?)」のほかに、版分けが複雑になると「親版」「大基本」「カラ基本」が登場してきます。

 原稿や先方チェック紙がいくつもあるときは、それぞれをどう呼んでいるのかお客さまにお訊きし、チーム全員で同じ言葉を使うようにしましょう。


納得してから印を押そう
 もしあなたが「保証人になってほしい」と知人に頼まれたらどうしますか? 保証人になんか絶対にならない、というのは分かっています。でも、どうしても断れない状況だったら、と考えてみてください。おそらく、契約書のすみからすみまで目を通し、分からなければ質問し、納得するまで署名・捺印しないはずです。

 校正もまったく同じで、「すみからすみまで、納得するまで」がキーワードになります。だから、「そこも見るんですか?」なんてことでは困ります。また忘れやすい人ほど、「あとでやろう」とか「まとめて訊こう」と先延ばしにするのはなぜなんでしょう?

 校正した文字を黄色のダーマトで消し込むというのは、ひと文字ずつにあなたの確認印を押しているのと同じです。だから、すべての作業が終ったら最後に1分間、消え残しがないか、やり残したことがないか、落ち着いて見直しましょう。

ダーマト 【dermatograph】の略。クレヨンみたいな色鉛筆のこと。芯を出すとき、紐を引いてまわりをむくが、接着が強すぎると上手にむけず、イライラすることがある(と書いても、見たことない人には分かりませんよね)。


「、」や「・」にこだわろう
 「じゃあ、またね」と「じゃあまた、ね」。あなたがデートの帰り際、恋人からささやかれたいのはどちらですか? 私はだんぜん「じゃあまた、ね」派です。むふふ。

 それはさておき、校正者は「、」「・」「アキ」「改行」の違いに敏感でなければなりません。以前、医薬品のセールスコピーで「、」が1カ所落ちてしまい、薬事法に抵触するのでは? と大騒ぎになったことがあります。また、『オレンジ・アップル・パイン×各2』と『オレンジアップル・パイン×各2』ではまったく意味が違ってきます。

 校正者に欠かせない“文章チェック力”をつけるには、本をたくさん読むよりも小説でもコラムでも自分の好きな文章を書き写すのが一番です。「なるほど、こういうときは『トモダチ』とカタカナにしてるのか」とか、「この『しっとりサクサク』がもし『じっとりサクサク』だったら気持ち悪いな」というふうに楽しく勉強できるでしょう。


品質管理のミーティングをしよう
 校正スタッフのミーティングといえば、テーマの99%が「品質管理」のことです。では他の部署もそうかというと、そうではありません。売上目標や仕事の進捗状況の確認などが主で、「品質管理」が議題になるのはだいたい「何かが起きてから」です。

 ヒヤリ・ハットを減らすためのミーティングが、どれだけ重要なのかは言うまでもありません。しかし、部署も立場も違う人たちにそれを理解してもらうのは大変なことです。
 「品質管理は手間も時間もとんでもなくかかる」と思われています。しかし実際は、すこし話し合っただけで「後(あと)工程」がぐんとラクになることも多いのです。

 例えば、修正モレのカンプが「制作」から「校正」に流れてきた場合。直さなければ「OK」にならないのですから、校正でじっくり見ても時間の無駄です。そこで、「修正モレはただちに制作に戻す」とミーティングで決めておけば、それまで毎回徹夜だったものが、電車のある時間に終わる可能性も出てきます。またはっきり言えることは、ミーティングで光を当てた個所は改善され、この場合なら「修正モレが激減する」ということです。

 ハインリッヒの法則、割れ窓理論、三現主義、源流管理、ヒューマンエラー、システムエラー、フィードバック、ダブルチェック・・・こんな品質管理の専門用語が、ミーティングで自然に使われるようになれば、そのチームは確実に強くなっていきます。
 品質管理のミーティングは、どこかの部署が言い出すのを待つのではなく、こちらから積極的に提案しましょう。

ハインリッヒ-の-ほうそく【ハインリッヒの法則】 1件の重大事故の裏には29件の軽傷事故(クレーム)と300件のヒヤリ・ハット(誰かが気づかなければ、事故になったであろうポカ)が存在するといわれています。ですから、重大事故を防ぐには、ヒヤリ・ハットの段階で“対策”を講じなければなりません。


読みやすさをチェックしよう
 初めてご利用になるお客さまは、初回のみ〈お客登録〉が必要ですので・・・・・・

 「さま」と「様」の不統一、気持ち悪いですねえ。表記統一の目的は、気持ちよく読めるようにすることです。次のパターンに当てはまるときは、了解をいただいていれば赤字、いただいてなければ「揃えますか?」の疑問です。勝手に直してはいけません。

1 画像(パッケージの文字)と品名が不一致
 
「画像に合わせ、〇〇としますか?」あるいは「画像に合わせ、〇〇としました。OKですか?」と疑問にします。
例/海藻サラダと海草サラダ、手作り餃子と手造り餃子、焼きと玉子焼き

2 お取引先の「用字用語集」にある
例/○ください ×下さい、○いただきます ×頂きます

3 読んでいて気持ちが悪い
例/タイトルは「ラインアップ」なのに本文中は「ラインナップ」

 次は書いてはいけない例です。重箱の隅をつつくような疑問は、百害あって一利な。窓口さんにとっても、お客さまにとってもうるさいだけです。

だめな例1 品名に合わせ、コピーの「プリン」を「ぷりん」としますか?
 品名と画像は「〇〇ぷりん」、コピーは「牛乳をたっぷり使った、まろやかなプリンです」。この場合、
コピーは「プリン」だからいいので、「ぷりん」だとヘンです。

だめな例2 P.80の「明らか」を「あきらか」としますか? (P.50の3行目に合わせて)
 お客さまの「どうでもいい!」という声が聞こえてきそうです。同じページか見開きなら揃えたいですが、
30ページも離れているので誰も気になりません

だめな例3 「取扱品目」を「取扱い品目」としますか? (「取扱います」とあるので)
 「
お申し込みに際しては、申込書をご記入の上・・・」など、名詞のときは送りがなを省略することがよくあります。刷り見本で確認しましょう。

 校正者の評価はヒット数ではなく、打率で決まります。しかもお客さまは10割打者しか求めていません。なんでもかんでも振り回すのではなく、絶対にヒットになる球以外は見送ることが大切です。


120点の仕事をしよう
 校正は、いくつ間違いが隠れているのか誰にも分からない、究極の「間違い探し」です。1つ見落としてもアウトですから、100点を目標にするのではなく、120点とるくらいの気持ちで取り組まないと、事故やクレームは防げません。
 では、120点の仕事ってどういうものでしょう?

 まずは見た目。ごちゃごちゃ書いてある校正紙は、すべての人にストレスを与えます。「たくさん書いてあるから、がっちり見てくれたんだろう」なんて思う人はいません。
 次は書き方。字はゆっくりでいいので、ていねいに書きましょう。また、
マーカーで色分けするとか、「決定的なもの」は大きく書くとか、すっきり見せる工夫も必要です。

 そして中身。思い込み錯覚で 書いた赤字や疑問は、相手にとって大迷惑。そこで書く前に、机の向こう側に回って、もし自分が相手の立場だったら、その赤字を見てどう思うか、その疑問にどう答えるか、を考えてみましょう。立場をかえれば「無駄」が見えてきます。書きたいことが10あっても、誰もが納得する1つか2つに絞り込んでください。

 レ点チェックは、チェックする位置を「赤字の後ろ」と決めておきましょう。そうすれば、チェックモレの見直しもカンタンです。
 原稿整理は、原稿を大切に扱うところから始まります。原稿は
すべて同じサイズでそろえ、パンチ穴が傷んだらパンチラベルで補強。保管場所もきちんと片付け、誰でも分かるようにしておきましょう。なにごとにおいても、「美しい形は強い形」なのです。


赤字に「おまじない」をかけよう
 どう考えてもありえない「入力ミス」や「コピペによる化け」に出くわすことがあります。
 例えば
国内産濃くない酸だったり、1,000円のところが98円なんて打たれていたら赤信号です。入力ミスをゼロにすることはできません。しかし大幅に減らすことは可能です。ここは『入力ミスを減らすおまじない』の出番です。

 赤字を書いたらその横に“謎の呪文”をちょこちょこっと書くだけですが、効果抜群!(それだけに、用法・用量を守り、正しく使いましょう)
 えっ、どんな呪文かおしえてほしい、ですって? たいへん残念なのですが
『企業秘密』のため、ここでは公開できません。

 *「そこをなんとか」という方はこっそりお教えしますので、メールでお問い合わせください。


読み手はわざと間違えよう
 読み合わせ校正での読み手の役割は、ニュースキャスターのように原稿を一字一句正確に読むことではありません。内容の“常識チェック”をしながら、書き手が入力ミスを見つけられるように、工夫して読むことです。そして時々わざと間違えましょう。

 普通に読んでいても間違えることはあります。でも校正の初めに、「ときどきわざと間違えます!」と宣言しましょう。こうすると書き手は、読み手がわざと間違えたとき「えっ!」と反応できなければバツが悪いので、気が抜けなくなります。

 地名・店名・人名などの固有名詞は、どんな字が使われているのかを書き手に伝えましょう。ヒロサキならヒロマエ ×)、トマコマイならトマコマキ苫小 ×苫小)、イヌボウサキならイヌボウサイ犬吠 ×犬吠)のように、わざとへんな読み方をして書き手に注意をうながしましょう。


質問は結論から話そう

 窓口さんに今すぐ確認したいことがあるのに、窓口さんはパタパタの真っ最中。そんなときあなたはどうしてますか? 「ちょっといいですか?」と声をかける!? これ最悪です。パタパタの切りのいいところまで待って、次のように質問しましょう。

1 まず「自分はこうしたい」と結論だけを話す
 初めに話すのは「何をどうしたいか」だけ。誘導尋問にならないよう注意しましょう。
 〈よい例〉  この「約」をとりたいんですが?
 
〈だめな例〉 約2268席っておかしくないですか?

2 窓口さんから何か訊かれるまで黙っている
 
しばらく黙ってましょう。窓口さんは今、「2268なんて細かい数字に、なぜ『約』をつける必要があるんだろう?」と一生懸命考えています。

3 あらかじめ刷り見本やネットで調べておく
 考えても分からない窓口さん。次の一手は当然「刷り見本はどうなってるの?」です。
 〈よい例〉 (さっとそのページを広げ)刷り見本も「約」があるんです。
 〈だめな例〉 ええと・・・見てません。

4 一つ解決するまで、次の質問はしない
 その質問が解決するまで、次の質問をしてはいけません。一つひとつ確実に。


情報はすべて共有しよう
 赤字検版で赤字の意味がはっきりしないとき、修正されたカンプを見て「ああ、そういうことか」って納得すること、ありますよね。100%納得できればいいのですが、99%のときは気をつけましょう。「だろう判断」で修正カンプに引きずられると、遅かれ早かれ痛い目にあいます。

 不思議だと思いませんか? 校正者が理解できない赤字を、どうしてデザインさんは直せたんでしょう? 情報を共有していなければ、必ず事故になります。だから、「どうしてこうなったのか、分からないんですが?」とすぐに問い合わせましょう。優秀な校正者はフットワークもいいのです。

 「なんかおかしいな」と感じるときは、たいてい何かあるものです。こちらに届いていないメールや共通赤字の別紙があると考えて間違いありません。


価格は1字ずつ確認しよう
 私たちは電話番号を人に伝えるとき、どんな方法を取っているでしょう。必ず「03・・・5817・・・3741」といくつかに分けて伝えますよね。その上最後に「復唱」までするのですから、間違えようがありません。

 パタパタや突き合わせ校正で「価格の確認」をする際も、このような工夫が必要です。19,800円19,880円だったとき、どうすればその間違いを確実に拾えるでしょう?
 やはり校正の基本「1字ずつ確認する」、これしかありません。黄ダーマトで消し込む際は、
「1」「9」「8」「0」「0」と1字ずつ縦に消していきます。

 1人目の人がこういう見方をし、ダブルの人がカンマの前と後ろに分けて、「19」と「800」のように見ていけば、ひとケタ多い198,000円のときも、カンマの位置がおかしい198,00円のときも、カンタンに見つけることができるでしょう。


白黒コピーで校正しよう

 「価格が化けて・・・」「関係ないピクトがいきなり入ってきて・・・」。十年くらい前から普及したDTPによって、それまで色校や下版で確認していた「画像」や「色」のチェックが、早め早めにできるようになりました。当初は「時間短縮になる!」と喜びましたが、やはりいいことばかりではありませんでした。

 1つめの問題は、コピペによる化けです。これは、デザイナーさんがコピペをした後、文字を直し忘れて起こります。まったく予想できないところも化けるので、修正が1カ所だからといって油断は禁物。必ずパタパタで、紙面全体を合わせるようにしましょう。

 2つめの問題は、修正モレ消え残しによる事故が激増したことです。「カラーカンプ」では修正指示や消え残しが目立たないので、よほど注意していないと見落とします。そこで「ここぞ」というときは、「白黒コピー」で校正すると良いでしょう。

DTP 【desktop publishing】の略。レイアウト・写植・版下・分解・レタッチなど、各部署のエキスパートが分業して作っていたものを、パソコンを使って、デザイナーさん1人で作れるようになった(なってしまった、かも?)。


別紙は「読み合わせ」にしよう

 赤字検版のとき、よく「別紙」が添付されてきます。このとき、「別紙は要注意!」と反応できる人は「広告校正検定3級以上」です(そんな検定まだありませんが、いずれ作ります)。なぜ「別紙」は要注意なのか。それは、入力ミスが多いとか赤字が複雑だとか、こみいったものが多いからです。

 「赤字検版は、突き合わせ」がルールだとしても(そんなルールはありませんが)、「別紙」だけは、誰かに頼んで「読み合わせ」にしましょう。「プロなのに読み合わせ?」と思う人は、「広校検(もう略しちゃいました)10級以下」です。「突き合わせ」の脆さ(もろさ)を知っているプロは、「危ないときは読み合わせ」なのです。

 また、窓口さんはそのときの状況に応じて、「別紙だけでなく、すべての赤字を読み合わせる」という方法も検討してください。原則にとらわれず、しなやかに対応して、一番確実な方法で仕事をしましょう。


チェックシートは横から目線で作ろう

 チェックシートは、ひじょうに優れたポカヨケシステムです。しかし現場を知らない人が作って、現場に「ぽい」と渡すだけではダメ。
 
「正しく使われているか」を監視する、監督責任者を決めておかなければ、CIマークのないページなのに「CIマークの色は正しいか」にチェック印があったり、まじめにやっているのはミスの少ない部署だけ、なんて笑えないことになります。

 また、チェックシートの使い回しやチェック指示があいまいなのもよくありません。
 例えば、「仕上り寸法は正しいか」は「タテ●●mm×ヨコ●●mm」とサイズを明記したほうが安全です。料理のレシピだって「塩を入れる」ではなく、「塩 小さじ1」となっていますよね。

 シートを作る時は文体も検討しましょう。度を越さない程度に、「自分らしさ」があっていいと思います。
 例えば、「・・・は正しいか」を、過去の事故事例を反映して「・・・にはなっていませんね?」にするとか。最後に「安全確認、ありがとうございました。」と一文添えるとか。
 どんなシートなら
チェックしたくなるのか、現場のみなさんと相談して、いろいろ試してみてください。


説明したら、復唱してもらおう
 広告校正は、「200ページのカタログを3日間で」とか「差替100台のチラシを2日間で」というようなサイクルで仕事がきます。もちろん1人ではできませんので、何人かで手分けすることになります。
 
その結果、当然のごとく校正紙の質はデコボコになります。そこでそのデコボコをならし、全ページに「統一感」を持たせるのが、窓口さんの役割です。

 でもここに、窓口さんの陥りやすい落とし穴があります。デコボコを減らそうと、スタッフに作業手順を細かく説明すればするほど、うまくいきません。情報の与えすぎは「何をしてほしいのか」をぼやかすだけです。
 
「あんなに細かく説明したのに」とぼやく窓口さんは、仕事の受け渡しがヘタなのです。

 確実に作業をすすめてもらうには、チェック項目をA4・1枚にまとめ、スタッフに渡しましょう。そしてお願いするのは、その中の1項目だけ。ていねいに説明をしたら、最後に必ず「何をするのか」復唱してもらいましょう。
 チェックが全ページにわたるものや、めったに出てこない個所のものは、
手分けするより、誰か1人に任せるほうが安全です。


修正個所は二度見よう

 検版ミスの事故は、99%が赤字を修正した個所で起こり、残り1%が化けです。だからパタパタはざっくりでも、修正個所は時間をかけて確実に見ていきましょう。

 そのやり方ですが、まずレ点チェック。赤字がごちゃごちゃのときは、レ点の代わりに赤字を黄ダーマトで消し込むという方法もあります(黄ダーマト以外はダメ)。こうすれば「見た赤字」と「見ていない赤字」がすっきり整理されるので、検版モレが防げます。

 次は校正紙の消し込み。修正を確認したらその個所を黄ダーマトで消し込みましょう。その理由としては、「差替版の校正時に、基本版で変わった個所が一目で分かる」とか「次回の校正時に、先祖返りになっていないかが一目で分かる」などがあげられます。

 最後はパタパタ。このときもう一度、赤字が正しく直っているかを確認しましょう。「ここはさっきがっちり見たから」とコレをはしょると事故になります。

せんぞがえり【先祖返り】 前回修正した個所が元に戻ってし まう化け。〈一例〉「再校データ」から「念校」を作るところを、「初校データ」から「念校」を作ってしまい、再校で修正した個所が念校に反映されていない!


赤字の常識チェックをしよう
 この仕事の理想的な流れは、カンプができたら内校をとり、誤りを修正してからお客さまにお届けする、というものです。しかし工程がぎりぎりの場合、カンプができたら即提出となるため、内校はお客さまチェックと同時進行になります(提出前にする校正を「内校」と言うので、正確には内校ではありませんが)。

 次の赤字検版では、「お客さま赤字」と「内校赤字」の2枚を確認することになり、赤字の紙が増えたぶん、注意が必要です。
 お客さま赤字が「ブルーの画像に」で、内校赤字が「レッドの画像に」。この場合、常識チェックでおかしくなければ、お客さま赤字がイキです。

 しかし原稿は1,980円なのに、カンプは入力ミスで1,080円! こんなケースは危険な匂いがプンプンします。
 もしお客さまが1,900円と赤字を書き間違えたら・・・。デザイナーさんはお客さま赤字優先なので、たとえ内校赤字が1,980円でも1,900円と直してしまいます。
 だから校正で、「赤字は1,900円でした。原稿は1,980円ですが?」と疑問を出さなければ事故になります。

 赤字検版は、「赤字どおりに直っているか」だけでなく、その赤字が正しいかまで確認してください。


レ点のありなしに注目しよう
 今回は「神は細部に宿る」とサブタイトルをつけたくなるような、マニアックなマニュアルをご紹介します。
 赤字検版で目にするデザイナーさんのレ点チェック。「修正済み」という意味で、色鉛筆などで赤字の横にちょこっとマークされていますよね。

 修正モレがあったとき、このレ点のありなしに注目するといいことがあります。
 レ点がなければ単純な修正モレです。ではレ点があったら・・・
化けの可能性大です。
 「赤字のところではなく、別の個所を直してしまった」と考えられませんか?

 例えば、945円を840円にする赤字があったとします。デザイナーさんのレ点はあるのに直っていなかったとしたら、周りに840円がないか探してみましょう。ほらね、すぐ横に化けた840円があったでしょ。


終電間際はすぐに戻そう

 修正モレがあったとき、私たちはカンプにその赤字を転記し、制作会社さんに戻しますよね。その赤字を見たデザイナーさんが、「あれ? ここは直したはずだけど・・・隣りを直しちゃったのかな?」と、自分でこしらえた化けに気づいてくれればひと安心。

 しかしこちらがもたもたしているうちに、「終電なんで、あとはよろしく♪」と夜番の人に任せて帰ってしまったら・・・・・・。夜番のデザイナーさんは隣りが化けてるなんて知る由(よし)もありません。

 「修正モレを見つけたら、すぐ制作会社さんに戻す」。これは安全対策です。
 
もろもろの事情はあると思いますが、窓口さんはこれを基本に、作業の組み立てを考えましょう
 
絶対OKにならないカンプで「せっかくだから」とパタパタしても、危険度が増し、無駄な手間とコストがかかるだけです。 

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