平成29年 今年の漢字

     ダンクグループ

     代表

大方の予想に反して、アメリカの次期大統領はトランプに決定した。日本の体制、とりわけ安倍晋三の「戦後レジュウムからの脱却」もこのことにおいて成功したかに見える。なぜなら日本の戦後の左派も右派もトランプの「駐留米軍の撤退」と言う発言は大歓迎なのである。戦後の左翼の悲願は日本からの米軍の撤退だったし、右翼は米軍の撤退によって日本が軍隊を持つことを公然と喧伝できることになるからだ。

現政権は「アベノミクス」をスローガンに掲げ、あらゆる戦略を駆使し無理やり経済成長を促した。それは一瞬実現されたかに見えたが、実際は表層的な達成感しか得られず、空虚と空洞化を招いただけだったのにすぎない。わたしたちはその空虚のなかに取り残されたのだ。

さて今年の漢字は「空(くう)」を選んだ。もちろん空虚とか空洞化ということが気になったからだ。空とは、現実には実態が無いという考え方だ。仏教的にはそれを「断見」と呼ぶ。逆に実態はちゃんとあるのだというのを「常見」と呼ぶ。仏教の考えは、その見方の両方を否定する。つまり実態が無いのは何も無いことではなく、現象相互の流動的な関係性によって存在するということだ。

アメリカがトランプを選んだことによって、地球上のあらゆる現象は流動的に動き始めた。しかしそれはしょせん人間の創造(想像)した現象のなせる業である。現実に翻弄されることなく常に「空」を意識することは大切なのかもしれない。「悟(さとり)」とは、すべての事象を捨て去り「空」に至ることを言う。「空」を発見するには、智慧を必要とする。それは未来を拓くことにも通じる。「空」は、「そら」とも読む。